
茗圃という場所
名古屋・伏見、白川公園のほど近くに店を構える広東料理店「茗圃」。扉を開けると、そこには料理を味わうだけではない、中国の食文化に触れるための静かな時間が流れています。
茗圃が大切にしているのは、香港で磨かれてきた広東料理の技術と、その背景にある文化を正しく受け継ぎ、伝えていくこと。素材の持ち味を丁寧に引き出す料理、一つひとつ手仕事で仕上げられる點心、食事に寄り添う中国茶。それぞれの専門性が重なり合い、茗圃ならではの一席がつくられています。
華やかな高級食材だけに頼るのではなく、身近な素材にも手間を惜しまず、本物のおいしさを追求する。その姿勢は、皿の上の美しさだけではなく、口に運んだときの奥行きや、食後に残る穏やかな余韻にも表れています。
茗圃は、単なる広東料理店ではありません。師から弟子へ、人から人へと受け継がれてきた技術と精神を、名古屋の地から次の世代へつないでいく場所です。

師から弟子へ。受け継がれた広東料理
会田政博料理長が料理に興味を持ったのは、幼い頃。母親の料理を手伝うなかで、料理をつくることの楽しさに触れていきました。やがて、「皆で食卓を囲み、自然と笑顔になれる」という中華料理の魅力に惹かれ、調理師学校へ。在学中から東京・銀座の広東料理店「福臨門海鮮酒家」で働き始め、そこで後に師となる料理人・呉錦洪氏と出会います。
会田料理長はそのまま福臨門に就職し、呉氏のもとで広東料理の技術を学びました。2009年には、師とともに茗圃の創業に参加。呉氏の亡きあと、2011年に料理長へ就任し、現在も師から受け継いだ味と技術を守り続けています。
受け継いだのは、料理の手順や味だけではありません。素材と向き合う姿勢、手間を惜しまない仕事、そして一皿を通して人を喜ばせること。その精神は、茗圃でつくられる料理の一つひとつに息づいています。

一皿を支える茗圃の技術|時間と手仕事がつくる茗圃の味

上湯|一皿の土台となる、澄んだ旨み
一見すると静かで、繊細な味わいのスープ。しかし、その奥には、素材の旨みを丁寧に重ねていく長い時間があります。
料理の味を支えながら、素材そのものの輪郭を引き立てる。上湯は、茗圃の広東料理を語るうえで欠かせない存在です。

焼きもの|香りと食感を引き出す、火の仕事
皮は香ばしく、身はしっとりと。焼きものには、火の強さだけでなく、食材の状態を見極める経験と感覚が求められます。香り、色艶、食感。そのすべてが最もよい状態で重なる瞬間を見逃さず、一皿へと仕上げていきます。

點心|小さな一品に宿る、繊細な手仕事
皮をつくり、餡を包み、一つひとつ形を整える。小さな點心の中には、いくつもの工程と、點心師の繊細な技術が込められています。蒸し上がった瞬間の香りや、口に入れたときの皮と餡の一体感。手仕事の積み重ねが、一口の完成度を生み出します。

中国茶|料理の余韻を、次の一口へつなぐ
茗圃にとって中国茶は、食事の最後に添えられる飲み物ではありません。料理の香りや味わいに寄り添い、口の中を整えながら、次の一皿へとつなぐ存在です。茶葉の個性を見極め、温度や淹れ方を調整する茶藝師の仕事も、茗圃の食体験を支えています。
受け継ぐだけではなく、ひらいていく。
茗圃が大切にしているのは、受け継いだ技術を店の中だけに閉じ込めることではありません。
コロナ禍によって休止していた料理人とのコラボレーション催事も、2025年2月2日に再開。異なる経験や技術を持つ料理人が同じ厨房に立ち、それぞれの料理を通して、新しい一席をつくり上げました。








會田 政博(あいだ まさひろ)|茗圃(みょうほ)
松村 聡廣(まつむら あきひろ)|l’adour(ラ・ドゥール)
若林 涼介(わかばやし りょうすけ)|粤菜R(エッサイアール)
そこにあるのは、店同士が優劣を競うための関係ではなく、互いの技術や考え方を持ち寄り、食文化そのものを豊かにしていこうとする姿勢です。
師から弟子へ受け継がれた技術は、料理人から料理人へ、そして料理を味わう人へ。茗圃は、一皿を通してその文化をひらき、次の世代へとつないでいます。
茗圃で、受け継がれてきた広東料理を味わう。
名古屋伏見 広東料理「茗圃(みょうほ)」
〒460-0008 愛知県名古屋市中区栄2丁目12−22 ウィン・コート白川 1F
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