CREATOR COLUMN

膨大な情報の中から“ホンモノ”を伝えるために

2026年06月10日 関西

私がヒトマチプレスに参加した理由

私はこれまで、写真や映像の仕事を長く続けてきました。
取材してきた場所は、国内に留まらず、5000箇所を超えます。

その中で、ずっと感じていたことがあります。

それは、
「魅力がない」のではなく、
「魅力が伝わっていない」だけの場所が、本当に多いということです。

素晴らしい商品をつくっている人がいる。
後継者がいなくて、途絶えそうになっている伝統技術がある。
人柄も、想いも、背景も面白い。

でも、それが外には届いていない。

理由はさまざまです。


広告費を大きくかけられない。
そもそも、自分たちの魅力をどう言葉にすればいいのかわからない。

ましてや、
「その価値さえ、まだ見出されていない」
という場所もあります。

そして気づけば、
本来知られるべき価値が、知られないまま埋もれていく。

皆さんは、自分が生まれた土地や、暮らしている地域の魅力を自慢できますか。

私は、日本は本当にすごい国だと思っています。

長い歴史の中で育まれてきた文化。
暮らしの中に自然と根づいている信仰や美意識。
ものづくりに込められた細やかな技術。
季節ごとに変わる風景。
地域ごとに違う食や言葉、人の距離感。

こうしたものが、日常の中に当たり前のように存在している。

でも、その“当たり前”の中にある価値は、
意識して見つめ直さない限り、なかなか外には伝わりません。

そして、もうひとつ感じていたことがあります。

それは、
「クリエイターに頼めば、勝手にいいものができる」
と思われている場面が、少なくないということです。

もちろん、クリエイターは写真を撮れます。
映像をつくれます。
文章を書けます。
デザインもできます。

でも、クリエイターは魔法使いではありません。
何もないところから、価値を“それっぽく”生み出す存在でもありません。

本当に良いものを伝えるためには、
その人や地域の“中身”に触れる必要があります。

クリエイターの仕事は、
その対象の中にある価値や背景、歴史を理解し、
まだ言葉になっていない魅力をすくい上げて、
必要な人に届く形へ変えていくこと。

それが、本来のクリエイティブの役割だと思っています。

これを読んでいる方がクリエイターなら、
「そんなの当たり前だ」と感じるかもしれません。

でも、業界が違えば、常識も違います。

企業や店舗にとっては、
自分たちの魅力を整理することも簡単なことではありません。

だからこそ、クリエイターが現場に行く意味があります。

その場所に行き、
人に会い、
話を聞き、
空気を感じる。

その積み重ねがあるからこそ、
表面的ではない、本当の価値に近づけるのだと思います。

ヒトマチプレスに参加した理由は、まさにそこにあります。

撮影や制作の仕事は、ともすれば
“納品して終わり”になりがちです。

でも、本当はその先が大事です。


その発信が、地域や企業にどんな変化をもたらすのか。

ヒトマチプレスでは、そこまで見据えて関われる。

だから、参加したいと思いました。

地域に眠る価値を見つけて、そこに光を当てたい。

ヒトマチプレスは、地域のためだけのプロジェクトではありません。

地域で働くクリエイターにとっても、
自分の力を社会に接続するための場所になると思っています。

今は、膨大な情報が流れ続ける時代です。

目立つものが先に届き、
本当に丁寧につくられたものが、
見つけられないまま埋もれてしまうこともあります。

だからこそ、
まだ伝わっていない価値を、ちゃんと伝えたい。
そして、その発信が誰かの行動や地域の未来につながるところまで見届けたい。

その想いが、ヒトマチプレスと重なりました。